日本森林学会大会発表データベース
第125回日本森林学会大会
セッションID: A16
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林政
山村における自伐林家の歩み ー高知県土佐町の事例ー
*松本 美香垂水 亜紀
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抄録

【目的・方法】近年、自伐林家の活動に注目が集まっている。しかし、その実態については、少数の事例報告があるのみである。そこで、自伐林家が高知県内でもっとも活発に活動してきた土佐町の自伐林家を対象として、その世帯の経緯、属性、活動内容、今後の見通し等を明らかにするために、アンケート調査(10戸)、聞き取り調査(6戸)を実施した。
【結果】聞き取り調査結果により、林業経営の特徴を分類すると以下の通りであった。①「過剰投資か否か」で区分。前者は非農林業からの参入者に多く、後者は農林業従事者者に多い。②「一般林業タイプか否か」で区分。前者は自伐のほか、立木購入・施業受託などを行ってきた者で後期高齢者が多く、林業の主業意識が高く多くの困難を乗り越えてきた。補助事業への依存度も高い。 後者は生産対象や育林手法に独自性を持ち、個々に販売先の開拓や付加価値付けといった消費市場への意識が強い。また林業だけでは生計が維持できな いので、多角化戦略を取るものが多い。今後、高齢者のリタイア、農林業後継者不在のなかで、自伐林家の展望は見通しにくいものになっている。

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