日本森林学会大会発表データベース
第125回日本森林学会大会
セッションID: A17
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林政
山村社会における自営農林家の今日的意義
*佐藤 宣子
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抄録

 近年、自伐林業運動ともいえる「木の駅プロジェクト」の全国な波及が見られる。この新たな動きは、自営農林家による素材生産力への注目だけではなく、地域での仕事おこしやエネルギー自給、経済の内部循環を高めるといった地域再生視点からの研究の必要性を提起している。研究の目的は、自伐林業運動の中核になると思われる自営農林家の実態把握を行い、その今日的な意義を議論することである。研究方法は、2010年の世界農林業センサスの農業項目と林業項目のクロス集計結果の考察と熊本県での個別農林家の対面調査による。センサス分析の結果、家族農業経営体かつ家族林業経営体でもある農林家において、主業農家(農業所得が主で65歳未満の自営農業就業世帯員が存在)率が高いこと、消費者への農産物の直接販売や農家民宿への取り組みが活発であることが判明した。個別農林家調査では、自伐林家でもある農林家(山林保有53ha)が中核となって集落営農組織を設立し、集落内で後継者不在の所有者から山林の委託組織に発展させる活動を行っている。林業側面だけではない自営農林家の多面的な分析によって山村社会での役割を考察することが求められる。

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