鹿児島県屋久島は、1993年に山岳地域が世界自然遺産に登録されたことも一因となり、1990年代から観光客を含む入込数の急激な増加が2010年頃まで続いた。とりわけ近年は、縄文杉に対する関心が著しく高まり、往復10時間弱の登山道を歩いて、一般の観光客も訪問するようになった。そして繁忙期には山岳地域における過剰利用や安全・リスクが顕在化してきている。こうした状況が発生する重要な要因として、メディア等による情報提供のあり方が影響を与えた可能性を否定できない。
そこで本稿では、屋久島が観光地「屋久島」のイメージの時代的な変化を明らかにする。具体的には、昭和30年以降の観光雑誌を対象として、屋久島の観光地がどのように紹介されてきたかを明らかにしたうえで、持続的な観光という視点から、今後の屋久島のイメージ化のあり方について考察したい。
本研究は、科学研究費補助金基盤研究 (B)「世界自然遺産の再資源化に向けたアクションリサーチ」(研究課題番号:23310035)の助成を受け、実施した。