岐阜県高山市大八賀川に東西8.3km×南北2.0kmのテストエリアを設定し、1点/m2程度の低密度LiDARのデータを利用して、森林の木部バイオマスの変化を推定した。落葉広葉樹林とスギ・ヒノキ林のプロット調査に基づいて木部の乾燥重量を算出し、2012年8月に観測されたLiDARデータから得られた樹冠高を説明変数とする回帰式をそれぞれの森林タイプについて調整した。乾燥重量の推定精度を検証した後、2012年と2006年6月に観測されたLiDARデータに回帰式を適用して木部バイオマスの分布を推定し、両者の差から森林の木部バイオマスの成長量を乾燥重量ベースで算出した。テストエリアの面積の40.0%が落葉広葉樹林、42.7%が常緑針葉樹林、4.2%がカラマツである。落葉広葉樹とカラマツに落葉広葉樹用の回帰モデルを、常緑針葉樹林にスギ・ヒノキ林用の回帰モデルを適用したところ、バイオマス成長は落葉広葉樹林で4383.8Mg、常緑針葉樹林で2558.5Mg、カラマツ林で299.4Mgとなり、常緑針葉樹林が落葉広葉樹林の約1.7倍のスピードで成長していることが明らかになった。