日本森林学会大会発表データベース
第125回日本森林学会大会
セッションID: T20-03
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人工林の高齢級化にどう向き合うべきか?-持続的な管理と利用を目指して-
樹木の成長からみた高齢級林分の個体配置
*正木 隆櫃間 岳八木橋 勉杉田 久志長池 卓男斎藤 哲壁谷 大介梶本 卓也太田 敬之梶谷 宜弘
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抄録

スギ、ヒノキの高齢人工林において、個体間の競合が生じている距離スケールを解析し、樹種、地位、林分構造との関連を分析した。解析には、東北地方から70年生のスギ林2林分、100年生のスギ林2林分、茨城県の110年生ヒノキ林3林分、山梨県の100年生ヒノキ林1林分、の計8林分のデータを用い、方法はMasaki et al. (2006) JFR 11:217-225と同様に、個体の直径増加とその周辺の半径xメートル以内の他個体のBAの相関係数を計算し、xの増加にともなう相関係数の値の変化から競合距離スケールを推定した。その結果、スギ林においては、各個体は地位・林齢・林分平均直径に関係なく半径8~10m以内の個体と競合していると推定された。ヒノキ林においては、スギよりも狭い4~7m以内の個体と競合していると推定され、また競合距離は林分平均直径と正の相関を示した。以上のことから、スギ林で長伐期施業をおこなう場合には、林分状況に関係なく個体間距離8-10mを基準にそれよりもどれだけ密に管理するか、という考え方が基本となり、ヒノキ林では林分の状況に応じて個体間の競争を制御する空間距離が変化することを考慮することが必要となるであろう。

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© 2014 日本森林学会
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