抄録
【目的】人工林の長伐期施業を進める上で、伐期に想定されるような林齢の現存林分の構造から施業に結びつく情報を得ることは有意義である。とくに構成個体の径級と他の因子との関係が明らかになれば、施業方法の検討に多くの示唆が得られると期待できる。 【方法】岐阜県・愛知県で、80~113年生のヒノキ人工林61林分を調査した。調査区(0.1ha程度)を設置し、区内の立木(DBH≧10cm)の胸高直径・樹高・枝下高・樹冠幅を測定した。樹高から枝下高を引いた値を樹冠長とした。解析に当たり、本数密度と林分材積はヒノキ以外の樹種を含め、胸高直径などの平均値はヒノキだけで計算した。 【結果】調査林分は、本数密度238~1891本/ha、平均樹高14.2~25.8m、平均胸高直径19.4~52.1cm、林分材積185~1099m3/haであり、それらの値は調査地により大きく異なった。林齢と本数密度や平均胸高直径には、関係がみられなかった。平均胸高直径は、本数密度と負の、平均樹冠長や平均樹冠幅と正の相関がみられた。平均胸高直径を応答変数、林齢・本数密度を説明変数とする重回帰分析で、重決定係数0.69を得た。