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第125回日本森林学会大会
セッションID: A10
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林政
樹林地利用による複合経営農家の実態-タイ東北部の事例-
*橋本 沙優小池 浩一郎
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キーワード: タイ, 樹林地, 複合農業
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抄録

タイでは、1960年代から1980年代後半まで、キャッサバなどの輸出指向型の商品作物の生産拡大や商業的伐採のため、森林を伐採し農地の拡大を行っていた。また、化学肥料や農薬多投の集約的農業や単一作物栽培の拡大により、土壌劣化が急速に進行し、土地生産性の低下や集荷業者に対する農民の負債の増大から農村の貧困が拡大した。1993年に農村での雇用創出と農家の生計安定の必要性から、国王により新たな農業理念New Theoryが提唱された。New Theoryとは、天水農業地域の小農が、自給作物生産を基本とし、ため池によって水資源を確保し、単一商品作物栽培から自給的な複合農業への転換を進めるべきとする理念である。近年、このNew Theoryに沿って農村内部では、自立度の高い生計の確立と渇水の緩和や土壌保全等の働きを強める自給的な複合農業への動きがみられる。
そこで本研究では、聞き取り調査の結果をもとに、代表的な天水農業地域であるタイ東北部マハーサーラカーム県で自給的な複合農業を実施している農家の経営実態を明らかにするとともに、農家の生計において樹林地が果たしている役割を検討する。

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