日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: A12
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林政部門
タイ東北部マハサラカーム県における森を生かした複合農業の実態
*橋本 沙優小池 浩一郎
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キーワード: 樹園地, 複合農業, タイ
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抄録

 タイでは、1993年に国王により、農家の生計安定の必要性から持続可能な環境保全型複合農業への転換を推奨する新たな農業理念New Theoryが提唱され、近年農村内部では、この理念に基づき、自立度の高い生計の確立や渇水の緩和等の働きを強めるため、単一商品作物栽培から森を生かした複合農業へ転換する動きがみられる。この森を生かした複合農業において、樹園地は持続的な収入源として重要視されているが樹園地利用を総体的に鑑みた報告は少ない。そこで本研究では、代表的な天水農業地域であるタイ東北部Maha Sarakham県で森を生かした複合農業を実施している農家において、農場内のため池、樹園地、畑作地の相互の有機的連関を明らかにするとともに、樹園地活用の可能性を農家経営の実態から検討を行った。
 タイ東北部は元来水環境が悪く、通年での野菜や果物の栽培は困難とされているが、両農家ともに農場内に、ため池を複数造成したことにより局所気候を変化させ、樹園地の造成が可能となるよう水環境を改善していた。また灌漑設備の導入により、乾季でも樹園地の維持や畑作地での農作物栽培が可能となり、年間を通じて収入を得ることが可能となっていた。

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