ヒノキは、我が国における主要造林樹種であり、建築材などとして利用されてきた。しかしその特徴を活かした利用の検討があまり行われていない。このためヒノキ林の管理方法、伐期、更新など森林経営の展望を見いだすのが困難である。そこで建築材としてのヒノキ利用に注目し、特に素材の取り扱い状況について検討することにした。比較的取り扱う量の多い静岡県を事例として、現状を分析することにした。2014年12月に静岡県森林組合連合会素材市場にてヒノキ材の径級、長級、量などを調査した。
ヒノキ材の取り扱い状況は、節が少ない柱角(10.5cmまたは12cm)を中心とした3m材と母屋角や土台などに利用される4m材が主である。また状況により良質な大径材は4m以上として板材や内装用として出材されている。ヒノキ材の造材は活用が限られているが3m柱材から、様々なものに対応できる4m材のほうにシフトしている。今後は節の多い大径材や細長い小径木などを森林の現状にあわせて活用する方法を検討する必要がある。