日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: P2B029
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造林部門
長野県信濃町におけるスギコンテナ苗の活着と成長
*城田 徹央小濱 光弘大矢 信次郎齋藤 仁志岡野 哲郎
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抄録

近年,再造林の低コスト化を目的にコンテナ苗を用いた植栽が試行されているが,長野県における実証試験はわずかである。この地域は中央高地式気候であり,季節風の影響を受けにくく標高が高いため冷涼寡雨を特徴とする。この自然環境下におけるコンテナ苗の適用性を検証するため,本研究では長野県信濃町(年降水量1375mm,年平均気温9.48℃)における植栽後1年目のスギコンテナ苗の生残と成長を調査した。植栽は2013年12月に伐造一貫システムによって行われ,調査は2014年10月に行われた。
 その結果,活着率と生残個体の当年伸長量は,宮城式ディプル式植栽コンテナ苗で82.8%と0.50cm(n=231),スペード式植栽コンテナ苗で89.0%と0.82cm(n=230),一鍬植栽裸苗で67.5%と0.93cm(n=159),丁寧植栽裸苗で77.3%と0.55cm(n=205)であった。以上のように,本試験地では初年度でも活着率が低く,さらに伸長成長が1cm以下と優れたものではなかった。要因としては特に4月・5月の乾燥,8月の乾燥および地温上昇が考えられる。以上のことから,この地域には乾燥条件に配慮した植栽方式,あるいは乾燥に適応可能なコンテナ苗の開発が求められる。

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© 2015 日本森林学会
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