【研究目的】リュウキュウコクタン(Diospyros ferrea)の繁殖モジュール単位における果実の成熟過程を定期的に調査し、未熟果実の脱落がどのような原因で生じるのかを考察した。【方法】供試木は樹高4.5m、胸高直径10cm以上の33年生雌株7個体である。調査は2008年6月8日~9月27日と2009年6月17日~10月8日の2年間実施した。2008年は111日間に17回、2009年は113日間に15回と両年とも固定ナンバーを付した繁殖モジュールごとに受精直後からの幼果実の高さと幅を約7日間隔で計測した。【結果と考察】両年とも5月中旬以降に径3mm以下の幼果実の生産が認められ、同年9月下旬までに成熟果実が落下した。両年の果実の生残過程は6月中旬から下旬までの幼果実落下期、ついで果実数が安定し果実が肥大する7月上旬から8月中旬までの果実成熟期、8月下旬から9月下旬までの果実落下期であった。果実の未熟落下が比較的少なかった繁殖モジュールの特徴は、受精直後に幼果実が一定数着果し、「果実のシンク能」の働きにより果実に繁殖資源を集中的に転流することができる繁殖モジュールであった。