日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: A06
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林政部門
森林・山村多面的機能発揮対策交付金による小規模な私有林管理への影響と課題:高知県を事例に
*松本 美香玉城 佐和
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抄録

 近年、森林・山村多面的機能発揮対策交付金を活かした新たな小規模私有林管理の動きが見られる。当交付金は、初年度全国で40道府県973団体が活動面積計4478haを申請。高知県では42団体が計440.6haを申請しており、事業活用度は高い。本報告では、高知県における森林・山村多面的機能発揮対策交付金受給事例にみる小規模な私有林管理への影響と課題を明らかにすることを目的とし、高知県における平成25年度の申請事業体を対象とした資料調査とその結果を元に選定した7団体への聞き取り調査を行った。その結果、高知県の事業活用度の高さの背景として、森林組合申請比率の高さ、民間団体の設立・活動への行政支援の手厚さ、民間団体の相互支援関係の強さ、過疎先進地故の危機意識の強さ、手厚い事務局対応などの影響が示唆された。活用効果では、地域の世代間交流・相互扶助機能の強化、地域資源の活用意識の醸成、新活動への展開等、当初の想定外の多面的な効果の発現が確認され、地域の小規模な私有林管理への意識変化も見られた。課題は共通して事業継続性で、運転資金確保のための技術・設備・資金・人材の不足に、地方の過疎地域故の課題が難しさを加えている。

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