日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: T28-06
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もう一つの森の主役・菌根:基礎研究から応用研究まで
北海道における森林性のネズミ類による外生菌根菌の散布
*藤岡 洋太橋本 靖
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抄録

樹木の共生菌である外生菌根菌の胞子など感染源の分散は、樹木の定着や生育に影響を及ぼすと考えられる。本研究では、森林内のネズミ類が、外生菌根菌の感染源の分散経路の一つとして、どの程度貢献しているのかへの知見を得るために、ネズミ糞中から外生菌根菌を検出した。2013年の9月から11月、2014年の6月から10月に、帯広市内のトドマツ林に隣接するカラマツ林内で、ネズミ類を捕獲し、ネズミの糞を個体ごとに集めた。2013年にはカラマツ実生、2014年にはカラマツとトドマツの実生を、ネズミの個体ごとの糞を入れた土壌で生育させて、糞中に含まれる外生菌根菌を検出した。2年間で合計56個体分のネズミ糞を調べた結果、カラマツ実生では、2013年に27個体のうち2個体分の糞から、調査地で多く発生していたハナイグチが検出された。2014年にもカラマツ実生で29個体のうち1個体分の糞から、前年とは異なる菌根形成が見られたが、トドマツ実生では見られなかった。カラマツ林に生息するネズミ類は、その糞によって外生菌根菌の感染源を散布する可能性があるが、散布が起こる頻度や対象となる菌の多様性はあまり高くないと考えられた。

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© 2015 日本森林学会
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