本報告の課題は、林業事業体の地域別動向の分析である。特に、事業体の経営と雇用について、いかなる地域差があるかを明らかにしようとしている。分析には、2013年に実施した全国の林業事業体に対するアンケートを用いた。林業事業体の素材生産量と賃金との関係から、都道府県別にタイプ分けを行った結果4つのタイプに分かれた。 ①中大規模高賃金型は、栃木県や和歌山県など地域のブロックでくくれない傾向がみられた。②小規模高賃金型は、東山・東海・近畿地域のほとんどの県が属しており、地域性が出ていた。③小規模低賃金型は、千葉県や香川県など森林面積自体が少なく、林業経営規模が小さな県が占めた。④中大規模低賃金型は、北海道・東北・九州地域に属する多くの県が該当した。