日本森林学会大会発表データベース
第127回日本森林学会大会
セッションID: P1-101
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学術講演集原稿
シベリアカラマツの枝アロメトリーにおけるサイズ依存性
*田邊 智子城田 徹央齋藤 大Baatarbileg Nachin岡野 哲郎安江 恒
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抄録

モンゴル北部では不連続に分布する永久凍土上にシベリアカラマツ(Larix sibirica)を主とした森林が広がる。樹冠葉量とその垂直分布の推定を行う過程で,個体サイズによる枝アロメトリーの差異を検討した。 林分のサイズ構造を考慮して選定した大,中,小のシベリアカラマツ3個体の樹冠に,ロープを用いた非破壊的な方法でアクセスして枝分布と枝サイズを計測した。これら3個体から1次枝を5本ずつ採取し,着生する長枝と短枝のシュート数を数えた。また各供試枝からシュートを採取し針葉に分けて葉面積を測定した。樹冠の枝密度,枝基部直径に対するシュート数および葉面積のアロメトリー関係,枝を構成する長枝数と短枝数のアロメトリー関係は個体サイズによって異なった。これらの違いを考慮して推定した個体のLAIは大個体から順に5.2,4.0,1.9であった。枝アロメトリーの違いを考慮しないLAI推定値はそれぞれ4.5,3.4,2.3であり,小さな個体のLAIを過大に,大きな個体のLAIを過小に評価する結果となった。樹冠葉量の推定には,個体サイズによる枝アロメトリーの違いを考慮する必要があることが示された。

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