日本森林学会大会発表データベース
第127回日本森林学会大会
セッションID: B1
会議情報

学術講演集原稿
気仙沼市における森林資源利用をとおした新たな里山・里海のつながり
*深町 加津枝
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

宮城県気仙沼市では、三陸海岸とその背後に広がる北上高地の自然の恵みを受け、豊かで多様な文化が形成されてきた。しかし、2011年東北地方太平洋沖地震により三陸沿岸部は大きな被害を受け、暮らしや営みのそのものが消失、変容し、地域固有の自然や文化の継承と創造が大きな課題となっている。「気仙沼地域における木質バイオマスエネルギー事業」は、間伐材などのチップをガス化するもので、発電能力は800kWとなっている。そして、地域内の森林資源を活用した木質バイオマス発電を軸にしたさまざまな取り組みによって、森-里-海のつながりを創り出すことを目的としている。自伐林家による森林利用・管理への積極的な参加に重点を置き、発電時の廃熱の観光ホテルへの供給、「リネリア」という地域通貨の導入など、事業で生まれた利益を山と海の間で循環させる仕組みを模索している。本報告では、対象地域における聞き取り調査やアンケート調査などの結果に基づき、木質バイオマスエネルギー事業と関わる林業従事者、行政等の主体間の連携の現状を明らかにするとともに、事業を進めることの意義、課題について考察する。

著者関連情報
© 2016 日本森林学会
前の記事 次の記事
feedback
Top