日本森林学会大会発表データベース
第127回日本森林学会大会
セッションID: P2-123
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学術講演集原稿
林分スケールにおけるミズナラ結実変動の同調性
*水谷 瑞希
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抄録
本研究では、ミズナラの林分スケールにおける個体レベルの結実変動の同調性を明らかにすることを目的として調査を実施した。調査は福井県大野市平家平に設定した5つのコドラート内に生育する約250個体(個体間の最大距離約800m)を対象に行った。2006~15年まで、毎年秋に個体ごとの着果量を目視で評価した。このうち不作以上の作柄が記録された205個体を対象に、個体ごとの結実変動に着目して解析を行った。調査地の作柄は2009年には良好、2006、10、14、15年には不良であった。2009年には83%の個体が上位25%の着果度となった。一方、作柄不良年には89~100%の個体が平均以下の着果度となった。14、15年の作柄不良は、マイマイガの食害によるものと考えられた。個体ごとの結実変動パターンは強い隔年結果傾向を示し、奇数年に結実が良好となった個体が多かったが、それとは一部異なる挙動を示す個体も約30%みられた。個体ごとの結実変動の同調性は調査地全体で高かった。林分スケールにおける個体ごとの結実変動の同調は、内的要因による隔年結果傾向と、強い外的要因として作用する特定の気象条件や他の生物的要因によってもたらされていると考えられた。
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© 2016 日本森林学会
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