日本森林学会大会発表データベース
第127回日本森林学会大会
セッションID: P2-162
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学術講演集原稿
飼料穀物4種に対するエゾシカの嗜好性
*南野 一博
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抄録

森林内のエゾシカを効率的に捕獲するには給餌によりシカを集めて捕獲する誘引捕獲が有効であるが、それには如何にシカを餌付けできるかが課題となる。本研究では野生のシカを対象にカフェテリア法による飼料穀物4種の嗜好性試験を行い、誘引捕獲に最適な餌の探索を行った。試験は2015年6月15日~20日及び8月24日~28日に実施した。北海道美唄市の林業試験場光珠内実験林と隣接するグリーンプールの5カ所に餌場を設置し、供試餌4種(圧ぺん大麦、圧ぺんエン麦、圧ぺん大豆、圧ぺんコーン)をそれぞれ2000g給餌し、一晩シカに自由に採食させた。餌場には自動撮影カメラを設置し、シカの採食状況や目的外動物の出没状況を確認した。翌日にそれぞれ餌の残量を計量し最も多く食べられたものを嗜好性が高いものとして順位を決定した。供試餌4種の順位は毎回異なり、嗜好性に明瞭な傾向はみられなかった。餌の豊富な時期にもかかわらず、すべての餌を食い尽くされることもあり供試餌4種の嗜好性は高いと考えられた。一方、ヒグマ、アライグマ、キジバト、カラス類、キツネによる盗食が確認され、穀物はシカ以外の動物の嗜好性も高いことが示唆された。

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© 2016 日本森林学会
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