日本森林学会大会発表データベース
第127回日本森林学会大会
セッションID: T1-6
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学術講演集原稿
シカ捕獲でスギヒノキ苗木食害は軽減できるか-徳島県つるぎ町での実証試験
*大谷 達也藤井 栄森 一生八代田 千鶴宮本 和樹奥村 栄朗酒井 敦
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抄録

全国各地で問題となっている新植地での苗木被害に対応するため、徳島県つるぎ町においてシカ捕獲によってスギ・ヒノキ苗木への食害が軽減できるかどうかを検証した。互いに4kmほど離れた場所にシカ捕獲を試みる伐採地(捕獲試験地)と試みない伐採地(対照試験地)を設定し、伐採地内に試験植栽区をそれぞれ6カ所および3カ所に設けた。ひとつの植栽区は25m四方で、スギとヒノキのコンテナ苗を3:1の本数割合(合計144本)で植えた。2015年5月下旬に植栽した後、ほぼ1ヶ月ごとに苗木の被害状況を記録し、10月中旬には捕獲試験地で3頭のメスジカを捕まえた。植栽後の日数から苗木被害を予測するロジスティックモデルに、樹種のちがい、下草による苗木被覆の有無、およびシカ捕獲の有無を切片として組み込んだところ、被害の推移をうまく表現することができた。被害を5段階のランクで表現した場合、仮想的に植栽当初からシカを捕獲していたとすると、植栽6ヶ月後においてスギで25%、ヒノキで18%ほど被害を軽減できると推定された。なお現在の結果は速報的なもので、この試験を来年度にも繰り返してシカ捕獲の効果をさらに詳しく検証する予定である。

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