日本森林学会大会発表データベース
第127回日本森林学会大会
セッションID: T3-5
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学術講演集原稿
森林浴の生体適応について
*Atsushi TakedaTeruhiko Kondo
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キーワード: 適応, ストレス, 森林浴
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抄録

森林浴が生体に及ぼす生体適応効果について検討した。被験者は、24名の男性高齢者である。森林浴および非森林浴調査は、マスクによる嗅覚遮断8名、アイマスクによる視覚遮断8名およびコントロール8名の3グループに群別した。非森林浴は、同一被験者による室内環境において日を変えて測定した。フィトンチッド濃度は、ガスクロマトグラフィー質量分析法を用いた。測定項目は、森林浴ならびに非森林浴前後の気象データ、心拍数、血圧、カテコールアミン3分画、コルチゾールおよびNK細胞活性について調べた。本研究における森林浴測定地点(群馬県利根郡川場村)から樹木由来のフィトンチッドが3種類検出された。森林浴前後の収縮期血圧は、嗅覚遮断およびコントロールにおいて有意に低下した。森林浴前後のアドレナリンは、嗅覚遮断およびコントロールにおいて有意に低下した。同様に、嗅覚遮断およびコントロールのコルチゾール値が有意に低下した。森林浴前後のNK細胞活性は、直後では変化を認めなかった。非森林浴では、すべて変化を認めなかった。森林浴は、嗅覚経路のみならず、視覚経路をも介して生体適応効果を短時間にもたらす可能性があることが示唆された。

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