カラマツは外生菌根性の樹種であり、実生の定着には菌根菌との共生関係が重要であると考えられる。カラマツ造林地の伐採後の再造林手法として天然下種更新による方法が試みられており、表土層の剥ぎ取りや種子散布域についての研究例はあるが、林内のカラマツ実生の菌根菌相を調査した研究は少ない。本研究では、東京農業大学奥多摩演習林内のカラマツ種子を人工的に播種したカラマツ造林地において、二年目の実生とその周囲の成木を対象に外生菌根菌相を調査した。採取した成木根端、実生の根から菌根の特徴ごとに形態分類を行い、その後DNA解析を用いて菌根菌の種の推定を行った。採取したすべての実生について菌根菌の感染が確認され、菌根数と乾重量の間に正の相関がみられることからカラマツ実生の生存には外生菌根の形成が重要な役割を果たしていると考えられる。また成木と実生を合わせて8属の外生菌根菌が観察されたが、そのなかでも広葉樹での観察例の多いロウタケ属、ラシャタケ属の種が成木と実生の両方で多く確認され、特に実生ではこの二つの属が総サンプル数の半分以上を占めた。