主催: 一般社団法人日本森林学会
会議名: 第128回日本森林学会大会
回次: 128
開催地: 鹿児島県鹿児島市(主に鹿児島大学郡元キャンパス)
開催日: 2017/03/26 - 2017/03/29
本研究では、表記のことを明らかにする目的で、全国に先行して主伐・再造林が拡大している宮崎県で造林事業体の労働組織とその運用実態を2015年から16年にかけて調査・分析した。 その結果、造林労働力については、縁故を通じた新規採用や再雇用で人数規模が維持される一方、植林・下刈に従事する期間を延ばすことで追加的な労働力を確保していることがわかった。 また、造林労働については、地元縁故に強みを有する請負的作業班の調整作用によって森林組合がほぼ唯一の担い手たる地位を維持している流域がある一方、森林組合の他に素材生産業者等やIターン起業者の新規参入がみられ、大きなシェアを握っている流域があることがわかった。ただ、その素材生産業者は、林産班と造林班とを連携させて地拵えの省力化を図るなどの改善を行っていたが、それに伴う経営者への管理業務負担が大きいため、自社伐採跡地以外への進出には消極的であった。 宮崎県では造林労働力の需要増に対してこのように供給拡大が為され、一定の成果を上げているが、すでに労働者1人当たりの肉体的負担は限界に近づきつつあり、さらなる需要増には対応しきれない恐れがある。