主催: 一般社団法人日本森林学会
会議名: 第128回日本森林学会大会
回次: 128
開催地: 鹿児島県鹿児島市(主に鹿児島大学郡元キャンパス)
開催日: 2017/03/26 - 2017/03/29
モンゴル国北方林では違法伐採を伴う人為的山火事による森林の衰退が社会問題の一つである。本研究では北方林の構成樹種であるシベリアカラマツ、シベリアトウヒ、シベリアマツ、およびシラカンバを対象に、山火事と違法伐採というかく乱が更新に与える影響を検証することを目的に成熟林、山火事のみにかく乱された林分、違法伐採のみにかく乱された林分、および違法伐採を伴う山火事にかく乱された林分の4タイプの林分で稚樹の定着を調査した。シベリアトウヒとシベリアマツは成熟林と違法伐採のみの林分で出現した。一方シベリアカラマツとシラカンバは山火事のみの林分と違法伐採を伴う山火事林分で顕著に出現したが、違法伐採を伴う山火事跡地では母樹が失われるため成熟林の林縁から離れると稚樹密度が減少した。山火事後に定着できるシベリアカラマツは山火事跡地で成長速度が最も高く、さらに山火事跡地では葉のδ13C分析結果から樹高が高い個体は水利用効率が高く、モンゴル国北方林のような乾燥した環境下では成長に伴い限られた水資源の効率的な光合成への投資を実現していると考えられる。