主催: 一般社団法人日本森林学会
会議名: 第128回日本森林学会大会
回次: 128
開催地: 鹿児島県鹿児島市(主に鹿児島大学郡元キャンパス)
開催日: 2017/03/26 - 2017/03/29
近年、顕著に認められる温暖化にともなう乾燥化は、多雪地帯に適応したブナの生育に重大な影響を与えることが懸念される。これまで演者らは、ブナのR2R3MYBファミリーで見出されたFcMYB1603をシロイヌナズナで異所的に発現させたところ、生体防御タンパク質、活性酸素分解酵素、タンパク質変性保護機能を持つLEA(Late embryogeneis abundant)の発現誘導など多面的な乾燥応答機構に関わっていることが推測されたため、乾燥応答性の候補遺伝子として着目している。そこで本研究は、日本各地におけるFcMYB1603の塩基配列の変異を調査することを目的とした。比較的に強乾燥下の立地に成立している太平洋側ブナ林の一つとして段戸山(愛知)の集団を対象に塩基配列を調べたところ、第3エクソンを含む約900塩基対の配列において、少なくとも1箇所で非同義置換を示す一塩基多型が認められた。また、4箇所で同義置換を示す一塩基多型も認められた。さらに本報告では、日本海側ブナ林として大山(鳥取)と白山(岐阜・石川・福井)の集団を対象に塩基配列の多型を調査するとともに、非同義置換の集中する領域で中立性解析を行い、各集団が自然選択を受けているかどうかを議論する。