ポット植えしたヒノキおよびスギの樹幹木部を人工的に凍結させ、樹幹木部の凍結時における樹幹直径変化および木部直径変化を歪みゲージ法により明らかにした。また、野外に生育する樹木の樹幹および枝の木部直径変化を冬期に測定し、樹幹と枝における木部の凍結と融解時刻を正確に検出することが可能であることを示した。樹幹木部を人工的に凍結・融解させた場合、木部に存在する水の相変化時に、木部直径変化はスパイクを示すのに対し、樹幹直径変化はスパイクを生じなかった。また、木部の凍結時には、樹幹直径と木部直径は木部温度の低下とともに収縮した。さらに、屋外で生育する樹木の樹幹や枝の木部は、気温が0℃以下あるいは以上になっても、直ちに凍結あるいは融解せず、木部の凍結-融解のサイクルは、同一樹木個体内でも、樹体の部位により異なることが改めて確認された。さらに、野外に生育する樹木の樹幹や枝の木部の凍結-融解時刻の検出は、HRM法による樹液流速度測定やADR法による樹幹含水率測定からも可能であることを示した。本研究の結果は、樹幹や枝の木部の凍結-融解サイクルを正確にモニタリングするためのパラメータを提供すると考えられた。