日本森林学会大会発表データベース
第128回日本森林学会大会
セッションID: A6
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学術講演集原稿
最近の中国における森林政策の動向と変化
*平野 悠一郎
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抄録

本報告では、最近の中国で展開しつつある森林関連の諸政策が、どのような社会背景を反映し、どのような方向性を持っているのかを明らかにする。具体的には、2010年以降において、第2期を迎えた天然林資源保護政策、退耕還林政策の実施内容に加えて、新たに立案された国有林改革、国内伐採量の削減政策、「三権分離」を前提とした集団所有林の権利改革、及び、現時点で議論の進んでいる「森林法」改正、年森林伐採限度量制度の改革を分析対象として取り上げる。これらの諸政策の動向と変化は、一面において、「国内の森林の諸機能を維持・向上させる」という従来の森林政策の基軸を反映したものである。同時に、特に2000年代以降における市場化・民営化を志向した改革・開放路線の一層の深化と、経済発展に伴う社会の多様化といった、森林と人間との関わりの範疇を超えた社会変革をも背景としている。すなわち、都市先行型の急速な経済成長を経た近年の中国の国家運営は、より一層の規制緩和、都市―農村格差の解消、自然資源の効果的な管理、法体系整備の必要性等の様々な方向性を持ちつつあり、これらが森林政策を「複雑」に規定する構造が生まれている。

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