日本森林学会大会発表データベース
第128回日本森林学会大会
セッションID: S3-8
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学術講演集原稿
獣害問題に学ぶ
*小泉 透
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抄録

かつて獣害といえば、草原性のノネズミとノウサギによる被害が双璧を占めた。これらの種は明るく開けた環境を主な生息場所としており、1970年代前半までは好適な環境が大規模に造成されたために個体数が増加し被害が激化した。1970年代以降造林面積は急速に縮小し、これらの種は個体数を激増させる機会を失い被害面積は減少した。林業地では、森林施業は動物の生息環境を直接改変し間接的に個体群動態にも影響する、ことの好例である。ニホンジカによる森林被害は1965年頃から報告され,1980年代後半から急激に増加し,2014年度には7,100ヘクタールに達した。被害面積は40年間に20倍近くに増え、1989年度以降獣害の第1位を占めている。戦後の林業は、さまざまなタイプの森林を利用するニホンジカに対して、一貫して好適な生息環境を提供してきた。さらに、1947年以降60年近くメスジカを厳格に保護してきたことが個体数を激増させた。ニホンジカの被害対策に経験が無く、対応が後手に回ったことも被害の深刻化を招いた。これらの過去の経験を基に、今後の主伐-再造林における獣害対策のあり方を考える。

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