日本森林学会大会発表データベース
第128回日本森林学会大会
セッションID: S10-3
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学術講演集原稿
開放系O3付加施設で生育させた落葉広葉樹の無機養分の動態
*小池 孝良石 聡Agathokleous Eugenios佐藤 冬樹渡部 敏裕
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抄録

北海道では、最近、地表付近のオゾン濃度が4~6月にかけて急速に上昇してきた。オゾンは植物に対して毒性の高いガス状大気汚染物質であり、森林樹木に対する悪影響が懸念されている。特に春先は落葉樹の開葉時期に一致して光合成の低下を招き、葉の老化を促進して落葉前の養分回収に悪影響を与える。開葉・落葉の仕方に特徴のあるシラカンバ(異型葉)、ブナ(一斉開葉)、ミズナラ(一斉順次開葉)の2年生苗木を褐色森林土(対照)、未成熟火山灰土壌(貧栄養・軽石混じり通気は良い)、蛇紋岩土壌(貧栄養、Ni,Cr,Mg等が多い)へ2013年に植栽し、オゾン(平均70 ppb)の有無と関連して処理後の2,3年目の養分含有量とその動態を解析した。落葉前のK,P,Feの再転流には土壌環境が大きく影響していた。主成分分析の結果、オゾンの有無と土壌環境の影響を総合的に理解する指標としては、MnとKがどの樹種にとっても有力な指標になることが示唆された。また、結果をを用いた化学量論の視点からも考察した。特に、落葉前のNの回収(=再転流)は、土壌への影響も予想されるので、今後、検討したい。

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