日本森林学会大会発表データベース
第128回日本森林学会大会
セッションID: T5-10
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学術講演集原稿
新植地でのシカ捕獲によるスギ・ヒノキ苗木食害の軽減効果
*大谷 達也藤井 栄森 一生八代田 千鶴宮本 和樹米田 令仁奥村 栄朗酒井 敦
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抄録

徳島県つるぎ町においてシカ捕獲によって苗木への食害が軽減できるか検証した。2015年5月末に4haの皆伐地内に25m四方の植栽区を6か所設定し、それぞれスギ・ヒノキ2年生苗を計144本植えた。植栽後ほぼ1か月おきに、苗木1本ごとにシカに食べられた枝を数えた。2015年10月から2016年6月初旬にかけて、皆伐地内で14頭のシカを捕獲除去した。2016年5月末にすべての苗木を刈り払い、前年と同様に植栽し食害を追跡した。皆伐地外周および植栽区にセンサーカメラを置きシカの出現を記録した。2015年の植栽後4か月間をシカ捕獲前、2016年の同期間を捕獲後として苗木被害を比較した。その結果、両種ともに苗木1本あたりの累積被害箇所数は、捕獲前後で有意な差とならなかったものの、植栽区ごとの分散は捕獲後に大きくなった。皆伐地外周のカメラでは、捕獲前に比べ捕獲後のほうが出現頻度(撮影頭数/日)は有意に少ないものの、植栽区のカメラでは捕獲前後で差はなかった。写真から特徴的な個体を識別すると捕獲後にも最低7頭が皆伐地に出現していた。捕獲によって皆伐地に出現する個体数を減らすことができたが、捕獲後には1頭あたりの被害が増加したと考えられた。

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