日本森林学会大会発表データベース
第128回日本森林学会大会
セッションID: T6-20
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学術講演集原稿
村民便りの内容分析:効果的な島嶼生態系の保全にむけて
*三ツ井 聡美久保 雄広吉田 正人
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抄録

 効果的な外来種対策のためには、地域住民の協力が欠かせない。既往研究では、住民の協力を促すためには行政から住民へ、長期的な情報提供が有効だと示唆されている。しかし、これまで情報提供の内容やタイミング等に関して詳細な分析がなされておらず、どのような情報がいつ提供されると住民の協力が得られるのか未だ明らかにされていない。本研究の目的は、小笠原諸島の外来種対策を事例に、行政が住民へ長期的に提供している情報の内容に着目し、その変遷を把握することである。 小笠原村が発行し、全戸配布している村民便り約20年分のデータに着目し、外来種管理、特に野ネコに関する記事についてテキストマイニングによる内容分析を実施した。政策動向と関連記事の出現数等に鑑み、3つの時期に区分した上で、記事内容の変遷を把握した。結果、行政が住民に伝えるノネコ対策の目的については、「身近な集落周辺の公衆衛生の改善」から、「山域における外来種の影響を低減」、さらに「島の生態系の保全」と、変化していることが明らかになった。政策動向に合わせた情報提供は外来種管理における住民の理解や協力を促し、効果的な島嶼生態系の保全に役立つ可能性がある。

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