主催: 一般社団法人日本森林学会
会議名: 第129回日本森林学会大会
回次: 129
開催地: 高知県高知市(主に高知大学朝倉キャンパス; 3/26は高知県立県民文化ホール)
開催日: 2018/03/26 - 2018/03/29
燃材のうち薪は木炭と比較して運賃負担力が低く、基本的に地産地消の商品で遠隔地間の流通はまれであった。薪ストーブではヤニが多いマツ類の 薪は扱いにくく倦厭されるが、逆に、伝統工芸品の益子焼では、製陶が始まった幕末期から高火力のアカマツを燃材として用いてきた。本報告は、 薪の長距離流通を可能にしている窯業に注目し、その燃材であるアカマツの薪の生産・流通構造を解明した。現在では熱源としてガス・電気が用いられるのが主流であり、アカマツは「登り窯」を有する製陶所及び窯元によって主に消費されている。栃木県においてマツノザイセンチュウによる松枯れ被害が拡大した昭和50年代以降、アカマツの薪の入手が栃木県内では困難な状況となった。伝統工芸品の益子焼においては、遠隔地からでも良質なアカマツの薪を手に入れたいという需要が存在し、薪の長距離流通が成立した。