日本森林学会大会発表データベース
第129回日本森林学会大会
セッションID: S15-2
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学術講演集原稿
モクレン属の交雑帯における第二世代雑種形成時の交雑不和合性の減少
*玉木 一郎谷 早央理鈴木 節子上野 真義和田崎 直隆戸丸 信弘
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抄録

シデコブシとタムシバの交雑帯の動態を予測するために,2種とそれらの雑種間の交雑和合性を,遺伝子散布モデルで定量化した。まず,マイクロサテライトマーカーを用いて交雑帯における成木307個体の系譜クラスを決定した。次に,37母樹から採取した574種子の遺伝子型を決定した。父性解析で決定した424他殖種子のデータを用いて,交雑和合性をパラメータに持つ遺伝子散布モデルを作成し,パラメータをベイズ推定した。シデコブシとタムシバが母樹の場合,種間交雑は有意な交雑不和合性を示した。しかし,F1との戻し交雑の不和合性は有意ではなかった。さらに,F1が母樹の場合,戻し交雑やF1同士の交配の不和合性は有意ではなかった。推定された他殖種子に占めるF1の割合は1.7%と,同交雑帯における成木の割合14.0%に比べ低い値を示した。以上より,種間交雑でF1が生じることは稀であるが,一旦F1が生じるとその交雑不和合性は低いため,以降の雑種形成のハードルが低くなると考えられた。また,成木でF1の割合が高くなる原因には,ヘテロシスや選択圧の低い空きニッチの存在が考えられた。

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