日本森林学会大会発表データベース
第129回日本森林学会大会
セッションID: T1-1
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学術講演集原稿
未利用バイオマス需給の現状と課題
*久保山 裕史
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抄録

未利用バイオマス発電施設は、2015年に急拡大し、2016年度末には30万kWまで急増した。これに対して、森林系バイオマス消費量は、2014年の160万m3から、2016年の422万m3へと250万m3以上拡大した。この要因としては、(a)C・D材の買取り価格の上昇(4700→5600円/m3)、(b)用材よりも緩い品質要求、(c)造材歩留まりの向上、(d)伐採量の増加が指摘できるが、2015~2016年にかけて61万m3しか用材生産は増加していないことから、(d)の影響はそれほど大きくないと考えられる。都道府県ごとの森林系バイオマス利用量と素材生産量との相関分析を行った結果、強い相関関係が認められ、2015年から2016年にかけてその関係は強まっていた。また、森林系バイオマス利用量の増加は、チップ材生産量との相関が最も強く、バイオマス供給とチップ材生産にシナジー効果があることが示唆された。これらの結果は、用材供給量の多い自治体、特に製紙用の原木チップの供給基盤がしっかりしている地域でバイオマス利用が拡大していることを示している。

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