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第129回日本森林学会大会
セッションID: T2-7
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学術講演集原稿
森林環境における福島第一原発事故から7年間の放射性セシウムの移行状況
*加藤 弘亮恩田 裕一Zul Hilmi Saidin
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抄録

森林に降下した放射性セシウムは樹冠に捕捉され、その後の降雨や落葉等によって徐々に林床に移行する。そのため、森林内の放射性セシウムの分布や空間線量率の時間変化を把握するためには、樹冠から林床への移行状況を観測することが必要である。本研究では、福島県の森林を対象として、福島第一原子力発電所事故から7年間に、森林樹冠から林床に移行した放射性セシウムの調査を実施した。 福島県伊達郡川俣町山木屋地区において、スギ人工林からなる2林分(31年生・15年生)と広葉樹混交林(コナラ及びアカマツ)を調査対象林分に選定し、樹冠通過雨、樹幹流、落葉等のセシウム137濃度を測定した。観測期間中(平成23年7月~平成29年12月)に樹冠から林床に移行したセシウム137は、スギ壮齢林、スギ若齢林、広葉樹混交林でそれぞれ191 kBq/m2、206 kBq/m2、67 kBq/m2であった。これらの移行量は、原発事故後に大気から沈着した総量の43.2%、46.6%、15.0%にあたる。樹冠から林床への放射性セシウムの年間移行量は、原発事故から5年間では時間経過とともに顕著に減少する傾向を示したが、平成28~29年度では同程度の移行量であった。

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