日本森林学会大会発表データベース
第130回日本森林学会大会
セッションID: A12
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学術講演集原稿
タンザニアの国内政治状況が国際気候政策への対応に及ぼす影響
*福嶋 崇
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抄録

本発表では、タンザニアに焦点を当て、その国内政治状況がREDD政策、ひいてはパリ協定への対応に及ぼす影響を、主に現地調査を通じ明らかにすることを目的とする。森林減少・劣化を対象とするREDDは、パリ協定の下に法的合意として位置付けられ、各国のGHG削減目標の達成に活用可能となった。タンザニアは、強い期待と共にUN-REDDプログラム及び二国間援助を通じた国内の体制整備を進めてきた。しかし一方で、2015年の選挙に勝利したマグフリ大統領は、2020年を目途に政府の主要省庁を法律上の首都であるドドマに移転させるとともに、汚職の撲滅や経済の引き締めを行っている。同時に省庁の再編や官僚の(海外)出張の制限措置を進めており、これを嫌った一部の官僚の離職とあいまって業務にも混乱をきたしている。このように、国内政治状況の変化はREDD政策はおろかパリ協定への対応を遅らせるものとなっている。そもそもガバナンスの弱い途上国において、このような状況は国際政策への対応を遅らせる要因ともなりうること、またパリ協定への参加はこれらの最貧国にとっても大きな負担を強いるものであることに十分留意する必要がある。

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