日本森林学会大会発表データベース
第130回日本森林学会大会
セッションID: M4
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学術講演集原稿
モミとクロマツに対するBursaphelenchus firmaeの接種試験
*秋庭 満輝神崎 菜摘安藤 裕萌鳥居 正人
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抄録

Bursaphelenchus firmaeはモミから脱出したヒゲナガカミキリから分離され新種記載された線虫であり、マツノザイセンチュウの近縁種のグループ(xylophilus group)に属する。このグループの線虫は針葉樹に対して通水阻害を起こすなどの病原性を示すことが知られていることから、B. firmaeのモミおよびクロマツに対する接種試験を行った。東京都(八王子市)および北海道(三笠市)のヒゲナガカミキリから分離された2アイソレイトを供試した。モミ2年生とクロマツ1年生の苗木の地際部に線虫5000頭を接種し25℃の温室に置いた。接種後14週目までにクロマツでは針葉の変色などの病徴が認められなかったのに対し、モミでは枯死個体が発生し(枯死率:北海道株45%、東京株10%)、北海道株を接種した1個体を除く全ての枯死木からB. firmaeが再分離された。水のみを接種した対照木では病徴は認められなかった。本試験は苗木に対する高密度の線虫の接種試験であったことから、B. firmaeの野外のモミに対する影響を評価するためには、成木に対する接種試験が必要である。

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