日本森林学会大会発表データベース
第130回日本森林学会大会
セッションID: A29
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学術講演集原稿
水源涵養機能を重視した森林経営への転換-横浜市有道志水源林を事例に-
*山口 広子興梠 克久
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抄録

横浜市有道志水源林は2016年に経営開始から100周年を迎えた。近年森林のもつ公益的機能が注目されているが、道志水源林は経営開始時から水源涵養機能の発揮に留意して森林経営を行ってきた。近年の大きな変化として、1991年に水源涵養機能に留意した木材生産を主目的とする経営方針から、木材生産を従目的化し水源涵養機能の発揮を最優先させるよう経営方針が転換されたことがあげられる。公有水源林の経営展開を扱った研究として泉(2004)があるが、近年の道志水源林の経営に関して包括的な議論を行った研究はない。本研究では、経営方針の転換が施業内容や担い手などにもたらした変化を明らかにするため、文献調査と聞き取り調査を行った。方針転換後、人工林の間伐により広葉樹の侵入を図り天然林に移行させてきたが、天然林化したエリアの面積は1996年から2017年で44haから612haに増加した。また、転換当初は行われていた枝打ちや路網整備が中止され、施業面からも木材生産が従目的化してきたことが明らかになった。転換後は横浜市民による森林ボランティア活動等が行われ、都市と山村の交流拠点になっているといえる。

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