主催: 一般社団法人日本森林学会
会議名: 第130回日本森林学会大会
回次: 130
開催地: 新潟県新潟市 新潟コンベンションセンター「朱鷺メッセ」
開催日: 2019/03/20 - 2019/03/23
間伐後に放置された材や切り株は、森林の持つ炭素貯留機能の発揮に貢献しているが、伐倒木と切り株では分解過程が異なる可能性がある。本研究では、主要な造林樹種であるヒノキについて、ヒノキの切り株の分解過程を明らかにすることを目的に2017年と2018年に木材片の採取を行った。また、分解過程の初期の動態を明らかにするためにヒノキの枝材を2016年から林内に放置し、2018年までに3回回収して木材片を得た。実験室においてこれらの成分を分析した。本要旨では2017年までの結果を示す。まず、切り株では材密度、ホロセルロース密度、リグニン密度のいずれについても、伐採後の経過年数の影響は検出されなかった。丸太では材が地面に触れていると分解の進行が速いことが知られている。これらから湿度や分解者の侵入経路の維持が分解速度を決めるうえで重要な要因であると示唆された。また枝材の設置実験では、ホロセルロース密度のみ、設置後377日の密度が設置後139日における密度よりも低かった。このことから、短期的には主としてホロセルロースが急速に分解するものと考えられる。発表では2018年度のデータを加えた結果について報告する。