森林・植物資源に焦点を当てた地域活性化策として、バイオマスの発電利用、植物の観光利用などが挙げられる。これらは地域の経済性や環境負荷削減、雇用創出に着目している。地域活性化の本質は、森林・植物資源の利用を通じて地域住民が地域への愛着や満足度を高めることであるが、多くの自治体ではこの視点が十分に反映されていない。また近年は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成が世界的に重要視されており、地域活性化においてもSDGsが重要視されはじめている。そこで本研究では、六甲山に存在する森林・植物資源を利用した神戸市の地域活性化のあり方を、SDGsの観点から考察することを目的とする。 先ず、神戸市が六甲山を対象として実施している地域活性化策を取り上げ、国の環境関連施策、SDGsとの関係性を整理した。その結果、森林・植物資源を用いた地域活性化では、地球温暖化の抑制、再エネや経済の推進だけでなく、貧困や高齢者に関する対応、環境教育や災害リスク管理、資金管理等も重要な要素となることを提示した。続いて、地域活性化を進めるために、関連するSDGsの目標・ターゲット別に、実施すべき取り組みを考察した。