日本森林学会大会発表データベース
第130回日本森林学会大会
セッションID: A6
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学術講演集原稿
木材取引情報の非対称性に対する協定取引の影響―高原林業地を事例として―
*茂木 もも子立花 敏
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抄録

持続的な森林の利活用として素材生産から木材の最終消費までの安定的な取引が必要と考えられる。2006~10年に実施された新生産システムに選ばれた11のモデル地域では、木材を安定的に供給する取り組みとして協定取引が開始された(林野庁2006)。協定取引では供給者と需要者が樹種、数量、形状、価格をある一定期間に安定的に取引する形が取られる。本研究では、情報の偏り(非対称性)に着目して協定取引における木材取引情報の非対称性の有無を明らかにすることを目的とした。研究対象は、関東近郊のスギ製材用材産地であり、2014年よりたかはら森林組合を中心とした協定取引を開始している栃木県高原林業地とし製材用材流通に関わる森林所有者から製材工場までを範疇とし、協定取引の開始に伴う情報の質や量について把握することとした。現段階までに、製材所からの質や量に関する情報は充足していること、将来的に必要になる木材の質や量に関する情報が不十分であること、協定取引でも取引量が必ずしも安定していないこと、価格決定や情報交換について川下優位な状況にあること、協定取引において県森林組合連合会の役割が重要なこと等の知見が得られた。

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© 2019 日本森林学会
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