日本森林学会大会発表データベース
第130回日本森林学会大会
セッションID: P2-225
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学術講演集原稿
針葉樹人工林に設置したカラ類用巣箱の利用者
*近藤 崇水谷 瑞希肘井 直樹
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抄録

 森林生態系において樹洞は鳥類、哺乳類、昆虫類などの多様な生物に利用される環境であるが、針葉樹人工林は一般に広葉樹林と比較して樹洞が少ない森林である。そこで樹洞営巣性であるシジュウカラ科鳥類(カラ類)を対象に人工林において樹洞の代替環境として巣箱を設置した結果、カラ類に加えて、様々な森林生物による巣箱の利用がみられた。本発表では、巣箱の利用状況から、人工林における樹洞代替環境の提供が人工林内の生物相に与える影響について検討した。愛知県豊田市にある名古屋大学稲武フィールドの55年生スギ人工林において、2011年に20個、2012年~2016年に約60個の木製巣箱(底面15×16 cm、高さ20 cm、巣穴直径3 cm)を、長さ1.5 mのポールに取り付けて地面に固定した。各年の4月から8月上旬ごろまで週に2、3回、すべての巣箱の見回りを行った。その結果、カラ類のほか、ネズミ類やヤマネによる休息場所としての利用や、アオダイショウやテンによる捕食場所としての利用、ハチ類による営巣場所としての利用等がみられた。人工林における巣箱の提供は、様々な樹洞利用生物に対して生息地としての質を向上させることが示唆された。

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