日本森林学会大会発表データベース
第130回日本森林学会大会
セッションID: A8
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学術講演集原稿
日本の素材生産における生産性の推移
*新井 紘嗣立花 敏
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抄録

わが国において林業の競争力強化は差し迫った政策課題である。産業の競争力は要素価格、為替レート、生産性等により規定され、その中でも生産性は生産者がコントロールできる数少ない要素であり、林業においても競争力の維持・確保には生産性を向上させることが必須条件となる(閔2010)。生産性分析には労働生産性等の単要素生産性がよく用いられ、生産量と特定の生産要素との比として定義されるため、一般的に相対価格変化に伴う他の要素投入量の変化を考慮できないことが欠点となる(山本1990)。この欠点を克服するものに、全ての生産要素投入量で生産量を割った全要素生産性(TFP)がある。本研究では、林野庁業務資料にある1983~2016年の全国平均と地域別の素材生産費データ(皆伐)を用いてTFPの計測を行った。具体的にはインデックス・ナンバー・アプローチを適用し、生産要素は労働、資本、経常財とした。その結果、全国平均のTFPは2000年以降に大きく上昇傾向にあり、この上昇には面積当たり素材生産量の増加、労働投入量の減少が大きく貢献していた。地域別のTFPの計測結果からは、2015年現在、北海道が他地域に比べて高いTFPを有すことが明らかとなった。

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