主催: 一般社団法人日本森林学会
会議名: 第131回日本森林学会大会
回次: 131
開催地: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟・豊田講堂
開催日: 2020/03/27 - 2020/03/30
極東ロシア・アムール州に位置するゼーヤ自然保護区と近接する森林の更新と地上部バイオマスを比較検証することで,自然保護区設定によって森林生態系と地域資源の保全に与える正の意義を明らかにすることを目的に調査を行なった.ゼーヤ自然保護区内に11箇所,自然保護区外との緩衝帯に6箇所,自然保護区外に6箇所の100 m2のプロットを2016年から2018年に設置し,樹高と胸高直径を測定した.期首と期末に胸高直径の再測を行なった.アロメトリー式から地上部バイオマスを推定した.
その結果,自然保護区内は緩衝帯と保護区外と比較して,樹高も最大胸高直径,胸高断面積のいずれも大きく,森林構造が発達していた.地上部バイオマスも森林構造と同様の傾向がみられた.
以上の結果から,自然保護区は比較的撹乱の影響が少なく,この地域を代表する森林植生が高いバイオマスで現存していることが判明した.一方,緩衝帯と保護区外は撹乱の影響を受けてはいるが,自然保護区と比較して先駆種の更新による旺盛な更新が行われていることも明らかになった.