日本森林学会大会発表データベース
第131回日本森林学会大会
セッションID: A24
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学術講演集原稿
熱帯における森林減少の発生と制御の仕組み
*宮本 基杖
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キーワード: 森林減少, 原因, 対策
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抄録

気候変動緩和策としても重要なことから、熱帯林減少を解決するための取組が積極的に実施されている。しかし、これらの取組に対して、高コスト、低効果、非持続性、地域経済への負の影響などの懸念も指摘されている。これは、森林減少の根本的な原因が特定されておらず、有効な対策が選択できていないためである。熱帯の森林減少を解決するために有効な対策は何か。熱帯林減少の発生と制御の仕組みはどういうものか。本研究では、これらについて検討するため、著者らが1990~2014年に実施した森林減少に関する実証研究(世界の多国間データ分析、マレーシア調査、インドネシア調査)の結果を用いて、森林減少の発生の仕組みを分析した。その結果、1.高い農業地代(農業の土地収益性)が森林減少の主な直接原因であること、2.貧困が森林減少の主な根本原因であること、3.貧困率が軽減されると農業地代が高くても森林減少が削減されることを実証的に明らかにした。さらに、熱帯林減少の発生と制御の仕組みについて、貧困・農業地代・森林率が主な条件であることを明らかにし、森林減少の解決には貧困削減が有効かつ持続的な対策であることを示した。

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