日本森林学会大会発表データベース
第131回日本森林学会大会
セッションID: A26
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学術講演集原稿
生態系サービス林業/森林サービス産業とイタリアにおける先駆的取り組み
*柴田 晋吾
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抄録

さまざまな自然の恩恵の市場化などによる革新的な営みとして、「生態系サービス業(ESBE)」や「森林サービス産業(FSI)」を位置づけ、その概念と意義について考察を行う。また、現地調査等に基づき、パドバ大学のスピンオフ組織であるETIFORとEUのSINCEREプロジェクト関連の北イタリアにおける取り組み事例を報告する。ボルゴバルディターロでは、野生キノコについての唯一のEU地理的表示保護(PGI)によるブランディングと年間1億円を越えるキノコ狩り券の売り上げ収入を地区内の森林整備に還流する仕組みを構築している。また、べネト州農業局が開発した余剰流量捕捉による水生産システムである「浸透森林地(FIA)モデル」を適用したボスコリミテは、FSCによる生態系サービスの認証の世界初の適用例であり、農地の森林への転換後のさまざまな生態系サービスに対する支払いが以前の農業収入を凌駕するに至っている。さらに、ポプラ林について同様な生態系サービスの認証を得ているパルコオリョスッドでは、PES(生態系サービスへの支払い)によって公園管理者、生産者、木材工場等のウィンウィンな関係の構築に成功している。

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