日本森林学会大会発表データベース
第131回日本森林学会大会
セッションID: S8-5
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学術講演集原稿
クロマツと広葉樹4種の根系成長と土壌硬度の関係
*野口 宏典小野 賢二
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抄録

震災後の海岸林造成では根が深く張るように盛土により嵩上げを図る事例が増えたが、造成時の過度な締固めによる土壌の硬化が根の成長を妨げることが懸念されている。そこで、樹木の根系成長に土壌の硬さが及ぼす影響を調べるため、土壌カラムを用いた実験を行った。

土壌カラムは、直径15 cm、高さ50 cmの塩ビ管を用い、上部と下部に20 cmの厚さの砂の層を、その間に厚さ4 cmの「硬度設定層(以下、設定層)」を設けて作成し、設定層の上に樹木苗を植栽した。対象樹種は、クロマツと、海岸林への導入が考えられる広葉樹4種(カシワ、ケヤキ、ミズナラ、コナラ)とした。設定層は、S値(SH型貫入試験機の3 kg重錘1打撃あたりの貫入量(cm/drop)、小さいほど硬い)が0.5、0.7、対照(2.0以上)の3つの硬さを設定し、海岸林再生地の盛土から採取した不攪乱土壌コアを用いた。各樹種、硬さの反復数は5とした。

植栽1成長期後の根の成長の樹種間の違いは不明瞭で、各樹種とも、S 値2.0以上の設定層では全個体の根が貫通し、S 値0.7の設定層では貫通する個体から侵入できない個体まで様々で、S 値0.5の設定層では侵入した個体もあったが貫通した個体はなかった。

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