主催: 一般社団法人日本森林学会
会議名: 第131回日本森林学会大会
回次: 131
開催地: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟・豊田講堂
開催日: 2020/03/27 - 2020/03/30
欧州では2000年代に入って製材業をはじめとした木材産業の寡占化が急速に進んだ。ドイツでは小規模分散的な森林所有構造のもと少量分散的な木材生産が行われており、この構造を変えることは容易ではなかった。そのため森林所有者の協同組織(森林組合)を設立して、木材販売の共同化が進められてきた。だが、森林組合の規模では急速に寡占化する製材業に十分に対抗できず、単位森林組合を組合員とした林業連合の設立が相次いでいる。こうした林業連合による木材販売量の大口化、販売窓口の一本化が寡占化する製材業に対する対応策であるといえる。
製材業の寡占化は技術革新とともにさらに進むと考えられ、さらなる対応策を探るためドイツの林業連合および森林組合の実態調査を行った。その結果、中規模以上の森林所有者や市町村有林の林業連合への加入がみられたこと、巨大製材業との価格交渉を有利に進めるために林業連合間の連携などがみられた。また森林組合の下にある地区世話人による組合員の木材販売の支援が行われている実態が明らかになった。日本において木材販売が重要となる中、森林組合系統組織を活用した木材販売共同化の強化も1つの方向性であると考える。