主催: 一般社団法人日本森林学会
会議名: 第131回日本森林学会大会
回次: 131
開催地: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟・豊田講堂
開催日: 2020/03/27 - 2020/03/30
近年、気候変動や人間社会の生活スタイルの変化により森林火災の頻度が増加し、気候変動をもたらすことが懸念されている。中でも北緯45°-70°に広がる北方林はその約1%が火災によって毎年焼失している。本研究では、ロシア極東における森林火災がバイオ炭を通して、土壌をどのように変化させ、樹木細根系の機能に影響を与えるかを定量化することを目的とする。調査は、ロシア共和国アムール州北部、Zeya森林保護区に設定されたカラマツ林の森林火災跡地とコントロール区にて実施された。各調査地において、樹木根現存量推定のために、火災跡地とコントロール区において、コアサンプリング法を用いて根現存量分布を評価した。また細根系を採取し、根呼吸速度を測定した。結果、火災に遭った森林の細根の現存量は、コントロール区よりも低く、栄養吸収量を大幅に減少させ、森林の生育や森林の炭素固定機能に負の影響を与えていることが示唆された。細根呼吸速度は、森林火災跡地よりもコントロール区のほうが低い値を示し、火災により減少した現存量を補うため、火災区の根系は呼吸速度を高め、養水分吸収機能資を促進させていることが示唆された。