日本森林学会大会発表データベース
第132回日本森林学会大会
セッションID: A16
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学術講演集原稿
第二次世界大戦前における木炭検査員の業務ー群馬県を事例としてー
*土屋 智樹山下 詠子関岡 東生
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抄録

 近代日本における木炭業界の発展には、木炭検査制度が寄与している。当時の木炭検査制度は、民営検査から公営検査に移行されていった。この民・公各主体による木炭検査は、各機関に所属する木炭検査員によって遂行されたが、この木炭検査員に注目した研究は乏しく、資料も散在している。本研究では、調査の結果得られた群馬県吾妻郡木炭同業組合の木炭検査員である黒岩嘉太郎の「勤務報告」(1927-1930年)・「検査日誌」(1924年)・「製炭地巡視報告」(1929年)を主軸とし、木炭検査員の業務の把握・整理を行った。その結果、木炭検査員の業務は、木炭検査および製炭指導を主としていたこと等を明らかにすることができた。また製炭者に対して展覧会への出品を推奨する奨励事業にも携わっている。そして、木炭検査員の能力向上、あるいは木炭検査員の養成のために開催される講習会に参加するなど、木炭検査員には検査業務以外の業務も求められていた。これら業務を通じて製炭関係者や同業者との繋がりを形成していたと推察され、木炭業界の展開過程において看過することができない存在であることが再確認された。

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