主催: 一般社団法人日本森林学会
会議名: 第132回日本森林学会大会
回次: 132
開催地: 東京農工大学によるオンライン開催
開催日: 2021/03/19 - 2021/03/23
南九州では民有人工林の主伐面積が増加している一方、その後の再造林が行われない事例が見られる。人工林資源縮小を防ぐためにも再造林率を高める必要がある。本研究では、再造林の主たる担い手である森林組合を対象に、南九州7組合における再造林の現状について、事業担当者への聞き取りを行った。また、森林所有者に提示する再造林(地拵えと植栽)事業の見積書や請求書を4組合から入手し、標準的なケースを設定し試算した。その結果、所有者の実質的な負担は、地方単独補助まで含めれば事業費の5%であった。見積・請求書を得られなかった3組合は、所有者に再造林の手出しがない条件で、主伐から再造林までの契約をしていた。いずれも所有者の負担はほとんどないと言えるが、そのためには、国県が定める標準経費を元に出される補助金に対し、実際の事業費を抑える手法が取られており、実際の事業費は標準経費の8割程度であった。特に、組合経費や労賃が圧縮されていた。しかし、造林作業班の労賃が低く抑えられた結果、造林作業の担い手確保が困難になっていると考えられた。森林所有者の意識を変えること、補助金額や標準経費の適正化が求められる。